ウクライナでは2014年以降「ロシアによる全面侵攻の可能性」をひと時も忘れたことはない(画像提供:wowkorea)
ウクライナでは2014年以降「ロシアによる全面侵攻の可能性」をひと時も忘れたことはない(画像提供:wowkorea)
ロシアがウクライナに全面侵攻してから1か月が過ぎた。ウクライナでは2014年以降「ロシアによる全面侵攻の可能性」をひと時も忘れたことはない。その理由は何なのだろうか。

まず、ウクライナは8年間「戦争中」であった。ロシア国民は「わがクリミアが祖国に戻ってきた一時的な事件」と思っているが、ウクライナ国民にとっては「戦争中の国家的苦難」である。2021年6月末、国連は「この戦争により1万3200~1万3400人にいたる死者と、2万9600~3万3600人の負傷者が発生した」と推算している。

2番目に、クリミア半島は自ら水を供給することができない。地下水や雨水も使用するが、ほとんどはウクライナのドニプロ川を通して水の供給を受けている。2014年のロシアのよるクリミア併合後、ウクライナはドニプロ川の水脈をふさいだ。その後、クリミアの貯水池と地下水は枯渇した。クリミアは農業が非常に発達した地域である。しかし併合後、田畑は干上がった。そのため、農業や畜産業の収穫は激減した。そのためロシアは、少なくともヘルソンまで領土を必ず拡げなければならなかった。侵攻から2日後の2月26日にロシア軍は運河のダムを爆破し、ロシアのタス通信は3月25日「クリミアに水が供給された」と報道した。

3番目に、アルセニー・ヤツェニュク元ウクライナ首相は「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナに “トラウマ”がある」と主張している。この主張によると、プーチン大統領はウクライナに対して、これまでに2度の失敗を経験している。それは「オレンジ革命(ウクライナの政変)」と「ユーロマイダン(ウクライナ市民運動)」である。これらのことが「ロシアはウクライナを侵略するだろう」という確信を、繰り返しウクライナ国民に植え付ける結果となった。そして今回の開戦後1か月が過ぎ、プーチン大統領は3回目の失敗を繰り返している。

最後に、プーチン大統領はウクライナの ”NATO(北大西洋条約機構)への加入”を名分に侵略を断行したが、2013年プーチン大統領がヨーロッパとの経済協力さえ許さず、ユーラシア関税同盟にだけ参加するようウクライナに圧力を加えた事実を、ウクライナ人たちは記憶している。またロシアがこれまで2度にわたってガスを供給せず、ましては当時は親露政権であったにもかかわらずヨーロッパよりも高い価格でガスを供給したことから「ロシアは政権に関係なく、自分たちの国を経済的にロシアに従属させようとしている」と信じるようになった。

このような理由によりウクライナ人たちは、プーチン大統領が「ウクライナの政治的・経済的・外交的・軍事的独立を認めない」ということを長い間直面し「ロシアの全面侵攻」に備えるようになった。

韓国キョンサン(慶尚)国立大学のチョン・ヨンジュ国際地域研究院研究教授

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