世界最大の政治リスク専門企業会長、「韓国は終戦宣言に執着してはならない…日韓関係の改善が先」=韓国報道(画像提供:wowkorea)
世界最大の政治リスク専門企業会長、「韓国は終戦宣言に執着してはならない…日韓関係の改善が先」=韓国報道(画像提供:wowkorea)
昨年4月12日(現地時間)、米ホワイトハウス。半導体供給網会議を主宰したジョー・バイデン大統領はサムスン電子、TSMC、インテル、マイクロンなどを会議に出席させて攻撃投資を訴えた。さらに、この“攻撃投資”の実質的な意味は「中国ではなく、米国に投資せよ」ということだった。

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 米国は2000年代に入って以降、半導体の生産に関心を持っていなかった。多くの利益が上がる半導体の設計分野に注力した。クアルコム(Qualcomm)が代表的な例だ。ところが、突然直接生産に乗り出すというのは一つの象徴であると思われる。半導体供給網を“経済”ではない“安保”の問題に切り替えたということだからだ。この会議を主導した人物もジェイク・サリバン大統領補佐官だった。サムスン電子などは経済が安保化していくのを徐々に実感してきているのではないだろうか。

 そのため、米中両国の板挟みになっている韓国にとって、精巧な外交は生存の条件となった。今年3月の大統領選挙の時代精神も“経済安保”問題をどう解決するかにあるという評価が多い。

 「韓国は朝鮮半島の外の多くのイシューに関心を持つ必要があります。次期大統領の最も重要な役割です」

 世界最大の政治リスク専門コンサルティング会社である「ユーラシアグループ」のイアン・ブレマー会長(52)の助言を一行でまとめるとこのようになる。地政学的に脆弱(ぜいじゃく)な韓国は、国外の経済安保問題を疎かにすると、いつ漂流するか分からない危険にさらされている。

 韓国オンラインメディアの「イーデイリー」はブレマー会長と年末にあたる先月20日(現地時間)、電話で新年特別インタビューを行った。プレマー会長は特定の理念に縛られず、主要政府と企業リーダーに現実的な助言をすることで有名な国際政治の巨匠とされている。韓国政府も他国政府と同様に諮問を求めているという。

◇ 「韓国がクアッドに参加できなかったのは厳然たる現実」

―グローバル経済安保の概念が強まっている。
△(インド太平洋地域で)クアッド(Quad/日本、米国、インド、オーストラリア4カ国の非公式安保会議体)から見てもそうだ。新型コロナワクチンの確保、新しいインフラプロジェクトのための資金調達、軍事安保協力、機密情報の共有など4カ国間の外交が活発になっている。

―韓国は米中間で板挟みになっている。
△韓国が中国と結ぶ経済関係の重要性は疑う余地がない。朝鮮半島の安保問題においても中国が重要だ。韓国の立場としては、(いずれか一つを選ばなければならないため)これ以上、中国と協力することができない立場にはなりたくないだろう。しかし、残念なことに、中国問題は昨年5月の米韓首脳会談の時、(うまく意見が一致しない)主要難題だった。

―韓国は悩みが大きい。
△韓国は米国と中国のいずれかを選ぼうとすることで、米国中心の同盟インナーサークルに仲間入りできないリスクを抱えている。例えば、バイデン大統領の北京冬季五輪に対する外交的ボイコットを韓国は支持していない。米国と同盟国間の緊密な関係とは反した行動だ。

―韓国は今年3月に大統領選挙を控えている。
△(日本を含む米国中心の経済安保インナーサークルに入るか、現在の外交基調を維持するかについては)今年の大統領選挙にかかっている。

―次期政権に現実的な助言をするとしたら。
△米国は韓国を非常に重要な国と見ている。米国地上軍が駐留していることから見ても分かる通りだ。韓国の経済的成功と文化パワーはよく知られている。昨年、歌謡、映画、ドラマなどで多大な成果をあげた。しかし、韓国がクアッドに参加できなかったのも現実だ。韓国はクアッドに参加する方法を模索しなければならない。

―どうすべきか。
△クアッド4カ国に1国だけを追加するのは難しい。そのため、カナダと韓国が同時に加入する方法もあり得る。カナダもクアッドに入らなければならない国とされている。しかし、前提がある。韓国が日本との関係を改善するまでは容易ではないということだ。

―日韓関係の改善をどうみるか。
△次期韓国大統領にとって、最も重要な課題は日韓関係の改善だ。(米国の北東アジア政策は、常に日米韓の三角構図を基本としている。)米国の最も重要なアジアの同盟国が日本と韓国だが、両国の関係が良くないのは話にならない。(日本と韓国は1998年当時の「日韓共同宣言」以後にはこれといった関係改善の事例がなかった。)

―日韓は歴史問題が足かせになっているが。
△両国の若者にとって、歴史より重要な問題がある。気候変化、新型コロナ、経済体制問題、ジェンダー問題などだ。彼らは従来の世代にこのような問題を解決する能力がないと考えている。これは、両国が似ていると感じられる部分だ。これを協力の動力として活用するのが両国の利益になる。

◇日韓関係改善、次期政権の最大課題

―韓国は中国の報復を恐れている。
△そのため、クアッドが重要だ。クアッドが強力なのは日本、オーストラリア、インドが一緒にいるからだ。中国の影響力が大きくなることを憂慮するという共通点がある。

―韓国の次期大統領に助言をするとしたら。
△朝鮮半島の外の問題にさらに多くの関心を注ぐ必要がある。バイデン大統領は中国とロシアに気を取られている。米国内ではインフレーション、新型コロナ、今年11月の中間選挙などの問題がある。朝鮮半島問題に関心を持つ余力はない。しかし、韓国はインド太平洋地域でバイデン政府の外交優先順位を支持する形で米国との関係を深めることができるだろ。これが次期大統領がすべきことだ。

―韓国政府は終戦宣言に集中しているが。
△終戦宣言は象徴的なものにすぎない。むしろ、下手に終戦宣言をすることになれば、今後、中国と北朝鮮は朝鮮半島の平和定着のための在韓米軍撤収を要求するだろう。米国はこれを“潜在的に一度踏み込めば、抜け出すことのできない道(as a potentially slippery slope)”だと考えている。終戦宣言は(朝鮮半島非核化、相互信頼による戦争防止合意、米朝国交正常化など)広範囲な平和協定の一部にならなければならない。

―米国は北朝鮮をどう見ているか。
△北朝鮮の問題は核を持っているという点だ。金正恩(キム・ジョンウン)総書記は核廃棄について真剣に交渉する意志がない。(トランプ政権時の)2018年の米朝首脳会談は失敗に終わった。この首脳会談で結果が得られなかったため、バイデン大統領が北朝鮮との首脳会談を行う理由がない。

―韓国は何ができるのか。
△北朝鮮は実質的な安全が保証されない限り核を放棄するはずがない。ワシントンと平壌が介入しなければ、韓国ができることは多くない。

◇イアン・ブレマー会長とは…
△1969年、米国ボルチモア生まれ、△テュレーン大学国際関係学士、△スタンフォード大学政治学修士・博士、△スタンフォード大学フーバー研究所の最年少教授、△コロンビア大学外来教授、△世界政策研究所先任研究員、△米国外交協会会員、△ユーラシアグループ会長(1998年~)

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