韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領がパク・クネ(朴槿恵)前大統領を電撃的に赦免したのは「腐敗犯罪事犯に対しては除外する」という自らの公約を破ったものとして、「国民統合の次元におけるものだ」とする肯定的な評価と、大統領選までわずか2か月余りを残した状況における「政治的考慮だ」という批判がそれぞれ飛び交っている。

韓国法務部(省)はきょう(24日)、パク前大統領を含めた赦免の対象者を発表した。パク・ポムゲ(朴範界)法相は「赦免は、国家元首である大統領による固有の権限だ」とし「国民和合・対立治癒の観点で、大統領が考慮したものだとみる」と語った。

文大統領は候補だった当時「5大重大腐敗犯罪に対しては、赦免しない」と公約していた。この5大重大腐敗犯罪とは、ワイロ・横領・斡旋収財と斡旋収賂(斡旋収賄)・背任のことをいう。しかし2019年に政治資金法違反容疑で有罪判決を受けていた元カンウォンド(江原道)知事を赦免したことで、先のような公約を事実上破ったと批判されていた。

しかも今回のパク前大統領においては、第3者賄賂授受の容疑が含まれていることから「政治資金違反容疑は、重大腐敗犯罪ではない」という説明は困難だとみられる。

さらに、今回赦免されるハン・ミョンスク(韓明淑)元首相の場合においても同様で、これに対する批判を避けるのは困難だとみられる。

法曹界では「赦免権」が頻繁に政治的に用いられることに対し、懸念する声も出ている。大統領の特権ではあるが、裁判所が独立的判断により下した判決を一度に無力化させてしまうからである。過去に、裁判を受ける大統領の側近が赦免を期待して控訴や上告を放棄し、早々に刑が確定する場合もあった。

ソウル地方弁護士会の会長を歴任したキム・ハンギュ弁護士は「パク前大統領の赦免に関しては、一定部分 “社会統合”のためのものとして尊重されるべきだとみている」としながらも「ハン元首相に関しては名分が足りないのではないか。結局現政権と近い政界の人物に対する特恵ではないかと思われる」と語った。

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