北朝鮮が19日、弾道ミサイルを発射した。北朝鮮の朝鮮労働党の機関紙、労働新聞は20日、新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を行い、成功したと報じた。SLBMの発射は2019年10月以来となる。 

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北朝鮮は最近、頻繁にミサイルの発射実験を行っており、先月だけでも4回に上る。先月15日には鉄道を利用した発射台からミサイルを発射。翌16日付の朝鮮中央通信は、中部の山岳地帯から800キロ先の日本海上の目標に「正確に打撃した」と報じた。先月28日には、新たに開発したとする「極超音速ミサイル」を内陸部から東海(日本では日本海)方向に発射した。

19日の北朝鮮のミサイル発射を受けて、日米韓3か国は対応に追われた。日本はこの日衆議院選挙の公示日で、岸田文雄首相は遊説を途中で切り上げ、急きょ東京に戻った。国家安全保障会議(NSC)を開いた後、記者団の取材に応じ「北朝鮮による核・ミサイル関連技術の著しい発展は見過ごすことができない」とした上で、「こうした状況に備え、いわゆる敵基地攻撃能力の保有も含め、あらゆる選択肢を検討するよう、改めて確認した」と述べた。

また、米インド太平洋軍司令部は声明を発表し、「韓国と日本はもちろん、地域の同盟パートナーとも緊密に協議している。我々はこうした行動を糾弾し、北朝鮮にこのような不安を助長する行動の自制を求める」と述べた。

韓国大統領府の国家安全保障委員会(NSC)の常任委員会は「韓国政府は朝鮮半島の平和プロセスを進めるために、米中露など主要国と活発に協議している。そうした中で、北朝鮮がミサイルを発射したことについて、政府は深い遺憾の意を表する」とした。

一方、今回、北朝鮮が発射したSLBMをめぐり、日本と韓国の情報に食い違いも生じている。聯合ニュースは「韓国軍合同参謀本部が短距離弾道ミサイル1発を発射したと発表したのに対し、日本側は2発としている」と指摘した。実際、日本の主要メディアは防衛省の発表などを引用し「2発が発射された」と報じた。

聯合は「軍事の専門家は日本が2発と発表したことに関連し、低高度での探知能力が低いのではないかとの見方を示している」と伝えた。また、ハンギョレ新聞は「改めて浮き彫りになった問題は、韓日間の意思疎通の不在だった」と指摘した。

ワシントンでは19日、北朝鮮問題を担当する日米韓の3か国の高官による協議が開かれた。外務省の船越健裕アジア大洋州局長、米国務省で北朝鮮問題を担当するソン・キム特別代表(韓国系の米国人)、韓国外交部(部は日本の省に相当)のノ・ギュドク韓半島(日本では朝鮮半島)平和交渉本部長が出席した。

NHKが外務省関係者の話として伝えたところによると、3か国協議では、日本が北朝鮮のミサイル発射について国連の安保理決議違反だと強く非難し、米韓両国も懸念を示したという。また、米国務省によると、3か国は朝鮮半島の緊張緩和や非核化に向け、今後も連携していくことを確認した。

北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記は、11日の国防発展展覧会での演説で「相応のレベルの自衛力を持たなければ、外部の軍事的脅威に振り回され、国や人民を守れない」と述べ、今後も兵器開発を進める考えを示している。

ミサイルの発射数に関して日本と韓国の情報が食い違い、意思疎通の不在も指摘されているが、北朝鮮の脅威に対応するため、今後も日米韓が強く連携していく必要がある。

韓国と日本とのGSOMIA(軍事情報包括保護協定)に関して、韓国執権与党の次期大統領候補イ・ジェミョン(李在明)京畿道知事は、「GSOMINAの締結、この売国の現場を目撃する心は凄惨だ」としていた。また「北朝鮮の侵攻(朝鮮戦争)の5年前まで日本は韓半島(朝鮮半島)の侵略国でした。日本はまだ侵略戦争を反省せず、むしろ独島(竹島)挑発で侵略の意思を露骨にしています」とSNSに書いていた。

大統領候補イ知事は続けて「軍事的な側面でみると相変わらず日本は敵性国家であり、日本が軍事大国化する場合、最も早い攻撃対象は韓半島であることは自明です」と話していた。

またイ知事の政治的な同志であり、韓国革新系のブレインとも言われるユ・シミン氏は「なぜ日本に情報を与えないといけないのか」「我が軍事力を増強させるため、日本の軍事力を受け入れることには死んでも反対する」と話していた。また、「日本の軍事情報には大したものがない」「GSOMIAは日本には有利な協定」と分析していた。

日本の軍事情報力に対する韓国の革新系政治家の分析は、以上のようなものだ。しかし、韓国保守系の立場は違う。韓国保守系のブレインと言われるチョン・ウォンチェク氏は「正直に日本自衛隊の情報力はすごい。精密衛星5台、イージス艦6隻、早期警報機だけでも17台だ」と分析していた。

韓国の革新系の分析が正しいか、保守系の分析が正しいか、今回の北朝鮮弾頭ミサイルの情報に対する日韓情報の違いはどちらの判断が正しいのかの試金石となり得る。また、それは来年3月の韓国大統領選挙において「候補者の眼目」として影響を及ぼすかもしれない。

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