韓国の与党議員が発議した「慰安婦関連団体の名誉毀損禁止法」とは?ユン・ミヒャン(尹美香)議員(画像提供:wowkorea)
韓国の与党議員が発議した「慰安婦関連団体の名誉毀損禁止法」とは?ユン・ミヒャン(尹美香)議員(画像提供:wowkorea)
韓国の革新系執権与党「共に民主党」の一部議員が、「慰安婦関連団体の名誉毀損禁止法」なる法案を発議したことが分かった。

イ・ヨン の最新ニュースまとめ

同法案は元慰安婦支援団体に対する名誉棄損(毀損、キソン)を禁止する内容。元慰安婦に関する事実を指摘したり、虚偽の事実を流布したりして、慰安婦や遺族のほか、支援団体の名誉も傷つけてはならないとの条項が盛り込まれている。

同法案の共同発議者10人には、同党の議員のほか、元慰安婦支援団体「正義記憶連帯」(正義連)の前理事長ユン・ミヒャン(尹美香)議員も名を連ねている。彼女は昨年4月、慰安婦運動に関する”功績”で執権与党の推薦で比例代表として当選していた。不正疑惑で起訴された後は執権与党から脱党したものの、今も議員職は無所属として維持している。

ユン氏は、正義連(旧韓国挺身隊問題対策協議会)による寄付金流用事件で、詐欺や業務上横領など8つの罪で昨年9月、在宅起訴された。今月11日、約11か月ぶりに公判が開かれ、ユン氏は起訴内容を否認した。

法廷に立ったユン氏は「あらゆる悪意あるメディアによる報道と、根拠のない疑惑が続き、悪魔のような犯罪者に仕立て上げられた」とメディアへの怒りも口にした。

「慰安婦関連団体の名誉毀損禁止法」を発議した議員の1人は、「最近、内外で慰安婦関連の歴史を公然と否定、わい曲し、被害者を侮辱して名誉を傷つける事例が発生している。こうしたことは被害者に深刻な精神的被害と苦痛を与える」と指摘した。

正義連や前理事長のユン氏に資金不正疑惑が取り沙汰されるきっかけとなったのは、長年、正義連の活動に関わってきた、元慰安婦の代表格イ・ヨンス(李容洙)氏が昨年5月に開いた記者会見だった。イ氏が「寄付金が元慰安婦のために使われていない」と訴えた。

韓国の中央日報は「この法案が通過すれば、今後、正義連をめぐる疑惑に関して事実をオンライン上で流布したり、討論会を開いたりすることだけでなく、イさんのように正義連に関することで記者会見を開いて公表するようなことも、処罰を受ける可能性があるとの懸念が出ている」と伝えている。

韓国のネット上では「本当に呆れる。こうして批判することを禁止して国民の口を塞ぎ、服従させようとしているのだなあ」「慰安婦団体を批判してはならないとはどういうことか。腐敗していれば、批判を受けるのは当然だ」「何という悪法」「まるでユン・ミヒャン処罰禁止法だな」「自力救済法かよ」などと反発の声が多く上がっている。

同法案は、虚偽の事実を流布した場合、5年以下の懲役または5000万ウォン(約460万円)以下の罰金に処するとしている。新聞や放送、出版といったメディアの報道のほか、記者会見や懇談会、街頭演説などでの発言も処罰の対象に規定している。

一方、「共に民主党」は現在、報道機関への懲罰的賠償を規定した「言論仲裁法の改正案」も強行処理しようとしており、韓国の言論界や法曹界などは「言論懲罰法」だとして批判を強めている。

同法改正案は「虚偽・操作報道」に関して、誤報による懲罰的損害賠償を被害額の最大5倍までメディア各社に負わせるというもの。また、訂正報道を行う際には、元の報道と同じ分量と大きさで掲載することとし、インターネット記事については、当該記事の閲覧ができなくするよう求めることができる。

「虚偽・操作報道」には詳細な規定がないため、権力者が批判的な報道に対し、「虚偽・操作報道」との主張を乱発するのではとの懸念が出ている、

同法改正案には、海外ジャーナリストたちからも批判の声が上がっている。国際ジャーナリスト連盟(IFJ)は20日、声明を発表。「韓国の国会が表現の自由を抑圧する道を開く言論仲裁法案を、今月25日に国会本会議で可決しないことを求め、この法案を破棄することを要請する」とした。

「先進国の仲間入り」や「次はG8」と言われている今、表現や言論の自由を脅かしかねない法案が相次いで発議されている現状は、かつての軍事独裁政権に逆戻りする危険性をはらんでいるとも言える。

軍事独裁の時代、”民主化”運動をしたと自負することで成り立っている今の韓国政権。その時代の「思想統制」や「言論統制」には「経済発展を優先するため」という大義名分でもあった。今の政権にはこの悪法に対して、何か大義名分でもあるのか?

Copyrights(C)wowkorea.jp 6