三身仏像は仏教の世界観である華厳思想に根ざした図像で、仏画や写経などにはしばしば見られるが、彫刻品としては華厳寺の仏像が唯一である。三身仏坐像は2008年、その価値が認められ宝物に指定されていた(宝物第1548号)。
今回、三身仏坐像が国宝に昇格できたのは、仏像の仏教彫刻史的価値に加え、仏像の腹の中からこれまで発見されなかった腹蔵遺物が発見されたためだ。朝鮮時代の仏像を研究するユ・グンジャ東国大学教授は「新たに発見された腹蔵遺物は、朝鮮後期の王室と仏教界の緊密な関係を表すという点で興味深い」とし、「こうした朝鮮後期の資料が発見されたのは、今回が初めて」と説明した。
腹蔵遺物は仏像を作る際に仏像の中に納めるお経、書籍、宝物などだ。本尊の毘盧遮那仏と釈迦牟尼仏の中にはなかったが、盧舍那仏像の中から一部の遺物が発見された。
仏坐像から発見された発願文には「施主秩」というタイトルが記されている。この文書は仏像を作るためにお布施の有無を記したもので、仏像を作った年から、華厳寺にいた僧侶の名前や、どこに仏像を安置したのかなどが記録されている。特に目を引いたのは、「イ・グァンとシン・イクソン(申翊聖)が、仏像を作るのに大きな施主として参加した」と書かれた部分だ。イ・グァンはソンジョ(宣祖=李朝の第14代国王)の第8子で、書道に秀でた才能を見せ、父親にかわいがられた人物である。申翊聖は宣祖の娘である靜淑翁主と結婚した人物。ユ教授は「仏教に愛情を注いだセジョ(世祖=李朝の第7代国王)以外に、朝鮮王室の人物の名前が記録されたのは珍しい例」と話した。
三身仏坐像は、太い線が重厚でありながらも柔らかく、繊細な表現の造形美を誇っている。文化財庁有形文化財課のパク・スヒ研究官は「歴史的意味に加え、芸術・造形的水準も非常に際立っていて、朝鮮後期を代表する仏像として遜色のない作品」と話した。
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