韓国の経済団体、全国経済人連合会(全経連)は16日、相星孝一駐韓大使を招いて開いた懇談会で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い制限されているビジネス関係者の移動制限を緩和するよう求めた。

聯合ニュースによると、この日の懇談会で出席者からは、両国ともワクチン接種が本格化していることを受け、接種を終えたビジネス関係者に対しては入国時に防疫手続きを簡略化する「ビジネストラック」を再開するよう求める声が出たという。

ビジネストラックとは、出張など短期滞在のビジネス関係者に向け、「活動計画書」の提出などの条件を満たせば、入国後14日間の待機期間中でもビジネス活動を認めるというもの。

中央日報によると、この要望に対し、相星大使は「人的往来の再開時期は内外の感染状況や防疫措置の履行状況などを考慮して、総合的に判断する。できるだけ早期に往来を再開し、日韓財界関係者の間で意味ある交流がなされるようにしたい」と述べたという。

また、先月17日には、韓国記者協会が在韓日本大使館に対して、韓国の報道機関の記者に日本への特別入国を認めるよう要請した。同協会の会報によると、キム・ドンフン会長は、在韓日本大使館公報文化院の中條一夫院長との会談で、「日本は最も近い隣国なのに、東京への派遣が決まってもビザが下りない。今は東京に行けないまま、韓国で日本のニュースを伝えている」と窮状を訴えた。

その上で、「韓国と日本の関係が最近閉塞しているが、特派員たちの足まで縛られ、日韓関係の改善に役立つことを伝えられないのが残念だ。特に東京五輪が迫る中で、特派員たちがスポーツ記者よりも先に日本へ入国して五輪のニュースを伝えなければいけないと思う」とし、韓国の報道記者の日本への特例入国を認めるよう求めた。

これに対して中條院長は「日本は今、韓国のメディアだけでなく、米国、英国、中国など全ての国のメディアの新規入国を許可していない。現在、日韓関係が良くないためにわざと日本政府が韓国メディアだけ入国を許可していないわけではない」と述べ、措置に理解を求めた。

日本による入国制限措置をめぐっては、昨年、韓国が強く反発した過去がある。

日本政府は昨年3月、新型コロナの感染拡大防止のため、韓国などを対象に入国を大幅に制限する方針を決定。これに反発した韓国政府は撤回を求め、当時のカン・ギョンファ(康京和)外相は冨田浩司駐韓大使(当時)を呼び、「不当な措置に深い遺憾を表する」と抗議。「韓国政府の感染拡大防止の成果が出ている中、不適切であり、背景を疑わざるを得ない」とも述べ、感染対策ではなく、政治的目的でこの措置を決めたのではと疑った。

その後、韓国政府は対抗措置として日本人へのビザ免除の停止を発表した。

しかし、日韓両政府は昨年10月、ビジネス関係者の往来を再開することで合意。同月8日から、前述の「ビジネストラック」と、14日間の自宅などでの待機措置を維持した上で例外的に入国を認める「レジデンストラック」を通じて、互いの相手国からの入国を認めた。

ビジネストラックとレジデンストラックにより、ビジネス交流が再び活発になると期待されたが、日本政府は、感染の再拡大を受けて今年1月14日から韓国を含む全ての対象国・地域とのビジネストラック、レジデンストラックの運用を停止。現在まで再開のめどは立っていない。

韓国では来月から、ワクチン接種が完了すれば、シンガポールなどの一部地域に限り、海外旅行(団体旅行に限る)に行くことを認める。これに伴い、旅行会社による関連旅行商品の販売も活発化しているという。

一方、日本政府は、全国10都道府県に発令中の緊急事態宣言について、沖縄以外の9都道府県は20日に解除することを決定した。しかし、緊急事態宣言が全て解除されても、ビジネストラックやレジデンストラックの運用の早期再開は見通せない。外務省は運用停止についてホームページで「当分の間」としている。

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